会長あいさつ

令和アリスの会のあり方は?

新型コロナ感染症の世界的流行が収束しないまま迎えた2022年2月、ロシア連邦がウクライナの侵攻を開始し、4月現在も戦争は続いています。世界で巻き起こる「まさか」の事態に向き合いながら、我々が生きる人間社会は今後どのような形になっていくのでしょうか。

さて皆さんはVUCA(ブーカ)という言葉を聞いた事がありますか?V(Volatility:変動性)U(Uncertainty:不確実性)C(Complexity:複雑性)A(Ambiguity:曖昧性)の頭文字を取った言葉ですが、元々1990年代後半に軍事用語として発生した言葉とされています。2010年代に入ると昨今の変化が激しく先行き不透明な社会情勢を指して、ビジネス界においても急速に使われるようになりましたが、将来の予測が困難なポストコロナの時代を考える今こそVUCAの時代であると感じております。

このような時代に、私はバトンを受け取り、アリスの会4代目の会長に就任しました。私が5年生の時に発足したアリスの会は、その会則第3条に「本会は、会員相互の親睦を深め、産業医科大学医学部の女性卒業生を支援し、もって産業医科大学の発展に寄与することを目的とする」と記載されています。しかしながら私はアリスの会が行う支援者は女性医師だけで良いのか?という問いを持ち続けています。産業医科大学の卒業生は修学資金のために義務年限があり、「ワーク・ライフ・バランスを踏まえたキャリア設計」には性差だけに留まらない個人差があり、悩みも千差万別です。そのような個人の悩みに寄り添うことの出来る会であり続けたいと考えております。

アリスの会は2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された持続可能な開発目標SDGsのうち、5番の「ジェンダー平等を実現しよう」だけでなく、3番の「すべての人に健康と福祉を」に貢献していきたいと考えます。医師は社会的責任から自分の健康と福祉を後回しにしがちです。卒業生であれば、臨床医や産業医、研究者、教員等の選択した職業の違いなく、誰でもアリスの会に参加してみたら元気になれる、そのような会の運営をおこなっていきたいと考えています。「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のために、会員の皆様のお知恵を拝借しつつ、共に歩んで参りましょう。

アリスの会 会長 大津真弓
合同会社ひまわり(19回生)