微生物学者が乳がんになった時(Ⅱ:がんも最期は感染症 その5)

Ⅱ:がんも最期は感染症<2014年9月~2015年11月>その5

金の切れ目が命の切れ目 ~薬は日進月歩~

エピルビシンやパクリタキセルなどのさじ加減のおかげで、副作用が少なく、長く治療を継続できているのだろうと思います。抗がん剤も副作用のコントロールもこの数年で劇的に改善しています。同じ治療を10年前に受けた方は本当に苦しかったと言われると思います、と言われました。薬は日進月歩です。ちなみにアバスチン(分子標的薬)は2011年9月に手術不能・再発乳がんに承認されています。分子標的薬等の新しい薬は、開発にかかった費用を回収するため非常に高価になっているそうです。白血球増殖促進剤G-ラスタは、これまでの連日注射のために病院に来なければいけなかった以前の薬に比べ夢のような薬だと言われました。これは2014年12月に日本で保険適用になりました。しかし、Gラスタも高い。2012年に便秘薬の新薬が30年ぶりに販売承認されたそうで、便秘薬で新薬は大変珍しいことで、薬の選択肢が広がりましたと教えていただきました。

抗がん剤治療開始前からイトオテルミー(30年来の付き合い)、治療を始めてからは勧められるままに高濃度ビタミンC(75g)点滴、5種免疫療法、フコダイン内服などをしています。何が良いか分かりません。ただ、確かに私には合っていると思っています。2年半も、抗がん剤治療を受けながら、特段の大きな副作用もなく仕事を続けてこられたのは、これらのおかげだと確信しています。保険適用ではないのでお金はかかりますが、自分に合うもので副作用をうまくコントロールできれば、抗がん剤治療を受けながら仕事がしやすくなります。エビデンスがあろうがなかろうが、個人で使う分は関係ないと思っています。ただ、医者、薬剤師には話しています。
卒業生が、お金が続かないと自ら命を絶たれた患者さんがおられます、医者はお金のことは分からないかもしれませんね、と教えてくれましたのであえて書きます。
医療費抑制策のため、後発薬品(ジェネリック)に変える動きがあります。とにかく限度額医療の制度と生命保険が助けになります。一か月の治療費は収入によって違いますが、治療費が一定額を超すと支払いが0円になります。来年は給与収入がなくなるから、安くなるかな? 

金の切れ目が命の切れ目です。

腫瘍マーカー、CT、エコー、:表1

血液検査で腫瘍マーカーとしてCA15-3、CA19-9、CEA、SCC、NSE、ProGRP、シフラなどを調べましたが、CA15-3(乳がんのマーカー)だけが異常値を示しました。2014年9月に59.9(正常値31.3以下)だったのが、半年のフェマーラ治療で2015年3月には36.6になりました。さらにFEC75治療の4クール目の終わりには転移巣の無気肺もリンパも顕著に改善しました。抗がん剤って、こんなに効くんですか?!と質問してしまいました。そのうち効かなくなるからと冷徹に言われたのですが、たしかに5、6クール目で変化はなくなりました。しかし、抗がん剤FEC75治療6クール終了後の8月にはCA15-3は13.7と正常値になりました。
これはアバスチン&パクリタキセル治療前の採血でしたので、FEC75治療が功を奏したと思われます。

しかし、この時、乳がんも、肺もリンパも腫瘍はあったのに、マーカーが正常とはどういう意味ですか?と質問したら、腫瘍マーカーとはそのようなもので、正常値だからと言って腫瘍がないわけではなく、異常であれば意味があると言われました。腫瘍細胞の増殖が盛んな時は腫瘍細胞特異抗原の腫瘍マーカーの発現量が多いが、増殖が緩徐な時は発現量が少ないということでしょうか?とにかく、なかなかいい検査法がないとのことです。

結局、アバスチン&パクリタキセル治療では若干の抑制効果で、むしろ休眠状態になったかと思われるような経緯でした。
(2016年10月、12月のCA15-3が正常範囲内とはいえ、11.1、11.4と若干上昇しています。CT&エコーの腫瘍増大と連動しているので、この上昇は少し意味があるのかな?と思いますが、正常範囲内なので意味はないとのことでした。腫瘍の最小値に比べ20%以上の増加で薬を変える目安にするそうですが、私の場合はまだ10~14%の増大なので、薬を変えるべきかどうか判断が難しいそうです)

データ

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